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教授生誕記念SS「グリーンアイ」

同居している設定のハリスネです♡
明日はスネイプ先生のお誕生日ですね。

「ねぇセブルス、ホルマリン漬け作れる?」

 かつての教え子かつ同居人である男が不意に
妙なことを訊いてきた。まるでピクルスのレシピ
を訊くような気安さだ。

「当然だ。私の研究室にいくつもあるだろう。買
ったものもあるが、自分でも作る。君はホルマリ
ン漬けになりたくなったのか、ミスター・ポッター」

「ううん、僕全体じゃなくて、眼球だけね。ほら、
セブルスは僕の目が好きなんでしょう?」

突拍子もないことを言い出すので驚いた。確か
にこの男は母譲りのグリーンアイ以外は取り柄
がない。

「目をホルマリン漬けにしたら、その眼鏡もいら
なくなるぞ。それとも君は死ぬ予定でもあるの
か?」

思わず出た皮肉に、ポッターは快活に笑った。

「そんなんじゃないけどさ。セブルスの誕生日
プレゼントを考えていたら、なんとなく思いつい
たんだよ」

眼球をプレゼントなぞ、なんとなく思いつくこと
なのか。

「死んだ後もセブルスの研究室で眼球だけで
も一緒に過ごせたらいいなって」

ポッターの頭の悪さと粘着質な性格が露わな発
言である。到底つきあいきれない。

「君の目をホルマリン漬けにするより私の寿命が
先だろう。いくつ年が離れていると思っているのだ」

と指摘すると、ポッターは、

「えっ、いやだ」

と眉をしかめた。おそろしいほどの頭の悪さだ。
しかも、

「ま、誕生日プレゼントはもう用意してあるんだけど
ね」

としれっとのたまったので今までの会話は何だっ
たのかと思うが、ポッターは楽しみで仕方ない
風にくくっと笑った。

「日付がかわったら、セブルスのお誕生日なんだ
から絶対寝ないでよ」

何故、日付変更と同時に誕生日を祝わなければ
ならないのか謎だが、毎年恒例行事になっている。
私は夜を徹して薬を煎じている鍋の番をすること
も珍しくないので夜更かしは平気だが、眼鏡は
仕事柄早寝早起きなので朝から、というか夕食
くらいを祝ってくれた方が良い。夜中に一面に年
齢分の火のついたキャンドルが立てられている
ケーキが出てくるだけで胸焼けがするし、もの
すごい加齢感がある。
この年になるとキャンドルの火を一息に吹き
消すのも大変なのだ。そんなことを考えていると
疲れてきてしまった。

「すまないが、眠気覚ましにコーヒーか紅茶を淹
れてきてくれないか」

と眼鏡に言いつけると、唯一の美点であるグリ
ーンアイを輝かせてキッチンに飛んで行った。
やれやれと溜息をつかずにはいられなかった
が、ふとホルマリン漬けには眼鏡が思ってい
るよりも複雑な工程があり、すぐに退色してし
まうことを思い出した。退色を復活させる薬品
があるが、扱いが難しい。やはり、眼鏡を生か
しておくことがあの瞳を守る最善策だろう。
そんなことを考えている間に私はまた一つ
年をとるのだ。

今年もよろしくお願いします。
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SS「姿眩まし」

 ちびハリーとわがはいのSSです。ゴールデンウィークなのでなんとなくそんな感じ(休日ネタ?)の
SSです。お読みいただけると幸いです。
 
 ゴドリックの谷のポッター家の玄関先に、ホグワーツ魔法魔術学校の若き魔法薬学教授である
セブルス・スネイプ教授は立っていた。休日に親交のあるポッター家を訪問して一時歓談し、帰る
ところだった。
「次の休みにもまた顔を見せてね」
と幼馴染みのポッター夫人であるリリーに声をかけられると、口角をわずかに上げて見せた。
「あれ、ハリーはどこに行ったのかな?」
家の主であるジェームズが幼い息子の姿が見えないことに気づいたが、スネイプ教授はその場
にハリーがいないことにとっくに気づいていたにも関わらず、
「さきほど少し眠そうにしていたから、居間か子ども部屋で眠っているのではないかな」
と落ち着いた声で答えた。
「ハリーはセブルスのことが大好きでまとわりついてばっかりいるのに薄情だな。今日もずっと
遊んでもらったのにさ」
ジェームズはあきれた声でそんな事を言ったが、
「子どもはそんなものだろう」
とセブルスは別段気にした様子もなく、ポッター夫妻に辞去の挨拶を述べて、外出用のマント
の裾を捌き姿くらましの体制に入った。身体を回転させる瞬間、軸足に違和感を覚えたのと、
見送るポッター夫妻の驚きの表情が視界に入ったが、そのままゴドリックの谷からセブルス・
スネイプ教授の姿は消えた。

 寂れたスピナーズエンドにあるスネイプ家は手入れが全くされておらず、一見空家のよう
だった。狭い庭の雑草は生い茂ったまま枯れていていかにも荒れた雰囲気を醸している。
そこに忽然と一人の若い男が出現した。その付近に誰もいなかったので騒ぎになることは
なかったが、当の若い男、魔法使いのジェームズ・ポッターは、辺りの様子に面食らった様
子でしきりに周囲を見渡した。しかし、すぐに我にかえると、一目散にスネイプ家の玄関ま
で走り、ガンガンと思いきりノックしてから返事を待たずに、自分で扉を開けて室内に駆け
込んだ。
「ハリー!!!」
幼い息子は古びたソファに座ったスネイプ教授の膝に小さな黒い頭をのせてぐったりと横
たわっていた。
「勝手にセブルスに着いて来ちゃダメだろ!」
ハリーはスネイプ教授の膝枕で長い指で優しく癖毛を撫でられてうっとりとまどろんでいる
ところだったが、スネイプ教授は愁眉を寄せた表情だ。
「姿くらましの体勢に入った時に足に違和感を覚えたのだが、回転し始めていたのでその
まま姿くらましをしてしまったのだ。うちに姿現しをしたらハリーが足にしがみついていたの
で驚いた」
と仔細を説明するスネイプ教授にジェームズは頷いた。ジェームズはスネイプ教授が帰る
のでハリーは拗ねてどこかに隠れているのだろうと思っていたのだが、スネイプ教授が
姿くらましをする瞬間に突然現れたハリーがスネイプ教授の足に飛びついたので驚愕した。
止める間もなかった。妻のリリーも驚いていて、夫婦で玄関先で暫し呆然としていたが、
スネイプ教授にくっついて姿くらましができていればいいが、手を離してしまった場合、行方
不明になるか、身体がバラバラになる可能性があるのですぐに対応しなければと気づいて
パニックに陥った。話し合いの結果、とりあえずジェームズがスネイプ教授を追いかけて、
リリーがゴドリックの谷で待機することになり、ジェームズは素早く姿くらましをしてスピナー
ズエンドに駆けつけたのだった。
「ハリーくらいの年齢では姿くらましの衝撃でどのような影響があるかわからないが、少し
乗り物酔いのような症状が出ているようなので炭酸水を飲ませてみた」
雑然と本が積まれたテーブルの上にゴブレットが置かれていることにジェームズは気づい
た。ハリーが母親と同じグリーンアイでスネイプ教授を見上げて、
「わがはい、もうちょっと飲みたい」
と甘えた様子を見せたので、心配していた分、呆れはててしまった。しかし、スネイプ教授
は、ハリーを膝の上に起こして、ゴブレットを自分が持ち、ハリーに飲ませてやった。
元からハリーは普段は自分でできることをスネイプ教授に世話されることを好み、食事
の時は毎回スネイプ教授に肉を切りわけてもらっている。スネイプ教授が子どものことが
よくわかっていないことと、ハリーの甘えが教授に限定されていることが考慮され、これま
でのところ黙認されている。
「我輩が確認したところでは体の一部が行方不明にはなっていないようだが、聖マンゴ
魔法疾患傷害病院で精密検査を…」
とスネイプ教授が深刻な表情でジェームズに話しかけたが、ジェームズは軽く首を横に
振って笑った。
「僕が見る限りでも大丈夫だと思う。さ、ハリー、帰るよ」
と声をかけると、ハリーはスネイプ教授の胸にもたれてまだ気分が良くないのだという
そぶりを見せたので、スネイプ教授は心配そうにハリーの顔を覗き込んだ。
ジェームズは開心術の名人であり、猜疑心が強いと言っていいほど鋭い観察眼と思慮
深さを併せ持つホグワーツの若き魔法薬学教授がこんな小さなこどもの他愛もない仮
病に簡単に騙されるのか、あるいは疑いもしないのは何故なのだろうと訝らずにはいら
れなかったが、スネイプ教授に姿くらまし時の軸足を尋ねてから、ハリーをスネイプ教授
の胸から剥がして、あまり清潔とはいえない色褪せた絨毯の上に寝かせた。そして姿く
らましの時と逆回転にハリーをゴロゴロと転がし、
「さ、これで治ったよ」
と言って、肩に担ぎ上げた。ハリーの目が回っていて抵抗できない間に、
「セブルス、迷惑かけてごめんね。今度の休暇もぜひうちに遊びにきてよ。リリーも待っ
てるから。後ほど暖炉で」
と挨拶すると、その場でつむじ風のように回転して姿くらましをして消えたのだった。
スネイプ教授はジェームズの我が子に対する大雑把な対応に衝撃を隠せなかったが、
ジェームズの最後の言葉を思い出し、居間の暖炉に火を入れておこうと考えた。
ハリーが自分についてきてしまった事には驚かされたが、何か話し足りないことでも
あったのではないだろうか。今日はハリーに乞われて、冬と夏の魔法薬の煎じ方の
違いについて話をしたのだが、あの年齢の子どもには言い回しが少々難しかったの
かもしれない。ハリーはどんな話でもあのグリーンアイを輝かせて聞き入るのでこちら
も相手が子どもだということを忘れてつい熱がこもってしまうのだ。そう独りごちながら
スネイプ教授は暖炉の火を熾す準備をし始めたのだった。

拍手してくださった方々、どうもありがとうございます!

短編「アドバイス」おまけSS

セブルス編です。本編を書いている時からこちらも頭に浮かんでいました。
またお読みいただけたら嬉しいです。


 脱狼薬に関する最新論文を読み終わり、書斎の時計を見ると、午後の中途半端な
時間だった。早速、論文に書かれているデータが正しいか検証実験してみたいのだが、
脱狼薬を煎じだすと、同居人の眼鏡の帰宅に気づかないおそれがある。別に眼鏡の
ことなぞ放っておけばいいのだが、現在、眼鏡は少々厄介な任務についていて、無事
に帰宅すればいいが、帰宅しないと何かあったという事なのだ。
本人はのん気なもので、
「せっかく、マグルのロンドンに行くのにお土産を買ってこられないからごめんね」
なぞと私に謝ってきた。土産といっても、自分の好きな甘い菓子だの、洋服だのとい
ったものだし、マグルの世界での特殊任務だというのに緊張感のないことこの上なく
て呆れる。幾つになっても、軽率さが抜けない眼鏡が無事に生還できるように注意
を与えたが、どれだけ口を酸っぱくして注意しても、眼鏡の注意力散漫な性格は直ら
ないから厄介だ。
 眼鏡の自己認識がどうなっているのか知らないが、今朝、家を出る時、何と私に
注意してきたので驚いた。
「僕がいない時に来た、見知らぬふくろうには気をつけてね」とか、
「研究に没頭するのはいいけど、ちゃんと三時のお茶を飲んでね」とか本当にどうで
もいい内容で、私は出勤前に揉めるのもいけないと思い、内心の憤慨は兎も角
適当に聞き流していたが、
「でも、地下鉄なんてセブルスは乗せられないな」と言い出したので、何故かと問うと、
「痴漢にあったらどうするの!」と言うので、唖然とした。
この私に破廉恥な振る舞いをする輩なぞいない。いや、いるが、家にいる。同居
している。
「とにかく、いまの状況が落ち着いても、ひとりで地下鉄なんて絶対に乗っちゃダメだ
からね!」と息巻くので、以前は地下鉄の駅で待ち合わせて出かけていたではない
かと言うと、眼鏡は大袈裟に溜息をついて、
「それは言わないで!昔の自分の気の回らなさが情けなくなるから!」
と私の話を遮ったのだった。私としては私が痴漢に遭遇する事より、眼鏡が痴漢に
間違われる事の方が心配だ。
眼鏡は眼鏡なりに私が家で快適に暮らせるようにあれやこれやと気遣っていて、
外出する時にもついて来たがる。荷物持ちとしては便利だが、時折、自分が眼鏡に
軟禁されているのではないかという気がしてならない。果たして気のせいなのだろ
うか。
 玄関の扉のノッカーをトン、トン、トトトン、トン♪とノックする音が響いた。眼鏡の
帰宅時の合図だ。やれやれ、今日も眼鏡は無事だったらしい。地下の研究室に向
かうついでに、玄関で眼鏡を迎えることにしよう。

拍手してくださった方々、どうもありがとうございます!

プロフィール

樹里

Author:樹里
ハリポタのスネイプ教授が
大好きです。わりと腐話が
多いのでご注意ください。
本や漫画の感想も書きます。

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