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黒と緑のファンタジア14

 木苺のジュースで渇いた喉を潤したハーマイオニーが、ケーキにフォ
ークを入れながら話の続きを始めようとするので、
「ちょっとはぼくにもハリーと話をさせてよ。男の子同士の方が話しやす
いからってぼくに声をかけたんだろ」とロンが口を尖らせて文句を言った。
するとハーマイオニーはむっとした表情で黙った。そういうところは年
相応らしかった。ロンとハーマイオニーの間に走った緊張を解そうとハ
リーが、
「ハーマイオニーの話、ぼくはおもしろかったよ。本で読むよりわかりや
すかったしね。ロンは知ってることだったんだろうけど」と言うとロン
は首を横に振った。
「きみたちが読んでる本って上級用だよ。それにぼくの家はよそからここ
に移ってきたからここの歴史なんかのくわしいことはよくしらないんだ
よ」
「だから、ちょうどいいと思って二人に話してたんじゃないの」とハー
マイオニーが横から口出ししたので、ロンはうんざりした顔になった。
「へえ、ロンのおうちは遠くからここに引っ越してきたんだ。どのあた
り?ぼく、行ったことあるかもしれない。セブルスとあちこち行ってる
からね」とハリーがロンに尋ねると、ロンは急にまじめな顔になった。
それから一呼吸おいて答えた。
「たぶん、きみは行ったことないと思うよ。ぼくたち同い年だろ?」
 ハリーが首を傾げると、ロンは声を潜めて二人にしか聞こえない
小声になった。ハリーの緑の瞳とハーマイオニーの茶色の瞳に注目
されてロンはそばかすだらけの顔を赤くしたが少し嬉しそうだった。
「ぼくたち一家はぼくが一歳の時にグリフィンドールの首都から逃
げ出したんだ」
 ロンは両親からこの話を人前でしてはならないと厳しく命じられ
ていたので、人に話すのは初めてのことだった。しかし、誰かに話
したい話題でもあった。何故なら個性的な兄たちと妹に挟まれて常
に目立たない存在のロンが、一家の中心として語られる唯一のエピ
ソードなのだ。
「おそろしい予言を信じた悪魔がグリフィンドールの赤ん坊をみな
殺しにしようとした。ううん、本当に殺したんだ」

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黒と緑のファンタジア13

「ハーマイオニー、講義はそれくらいにして、君もお菓子食べなよ。
君のママが焼いてくれたケーキすごくおいしいよ」
 まだ口の中にケーキが残っているのに、クッキーの皿に手を伸ばしな
がらロンがハーマイオニーに声をかけた。ハーマイオニーは挨拶もそこ
そこにこの地方の古代から中世を経て近世に至る歴史について、ハリー
とロンに滔々と話して聞かせていたのだ。
「あら、ここから肝心なのよ。現代史がね。まぁ、少し休むわ。喉が渇
いちゃったし」そう言うとハーマイオニーは木苺のジュースをごくごく
と飲んだ。ハリーがハーマイオニーの皿にケーキを不器用な手つきで取
り分けるとレディのように丁寧に礼を言ってくれる。ハリーはハーマイ
オニーの父親がポケットに忍ばせてくれるクッキーやパイでハーマイオ
ニーの母の菓子の美味さを知っていたが、焼きたてのお菓子をオーブン
から出してくれたハーマイオニーの母の優しい笑顔を見て、ますます美
味しく感じられ、ロンと競うようにテーブルの上のお菓子を食べていた。
セブルスが見たら、消化薬と説教が与えられたに違いない。ハーマイオ
ニーの母親は、大人びて難しい本を読んでばかりいるハーマイオニーが
同じ年頃の子どもたちの友達を連れてきたのでとても喜んでいた。
 セブルスを残して、ハーマイオニーとロンに両手を繋がれてハリーが
部屋を出ると、
「あいさつは私の家についてから」そうハーマイオニーが早口でハリー
に告げ、前のめりになってずんずん先を急いだ。ロンがハリーと繋いで
いない方の手のひらを上に向けてハリーに目配せする。ロンは緊張のあ
まり鮮やかな赤毛に負けないくらい顔全体が赤くなっていたが、栗色の
眸は茶目っ気が躍っている。ハリーは自分よりかなり背が高いロンを見
上げて、口元をにっこりさせるとロンも笑顔になった。先を急ぐハー
マイオニーが足を滑らせかけたが、ロンとハリーがバランスをとって
持ちこたえた。ハーマイオニーの家は市庁舎の裏に建っている赤い屋
根のこじんまりとした屋敷で、薔薇のアーチをくぐった時からハリー
はお伽噺にでてきそうだと胸を弾ませた。それに友達の家に遊びに来
たのは生まれて初めてのことだったのだ。

黒と緑のファンタジア12

 少年と少女の二人連れをセブルスはぎろりと睨んだ。
「何をしにきたのかね。ここは子どものくる場所ではない」
 ハーマイオニーは怯んだ様子を見せずにセブルスを見上げた。
「私たち、ハリーに会いに来たんです。ハリーと少しお話してもいいで
すか?私、ハーマイオニー・グレンジャーです。こちらはロン・ウィー
ズリー。二人ともハリーと同じ年です」
 セブルスは片眉を吊上げて、目を眇めた。勝手に椅子から立ち上がっ
てセブルスの傍に駆け寄っていたハリーは、はらはらしながらセブルス
とハーマイオニーたちを見ていた。ここに来ていればハーマイオニーに
また会えるのではないかという気はしていたが、こんなに堂々と訪ねて
きてくれるとは予想していなかったのだ。
「残念だが、この子を遊ばせるわけにはいかない。仕事があるのでね」
 セブルスは素っ気なくハーマイオニーに断りを入れた。ハリーは残念
だが仕方ないと思った。セブルスはハリーが他人と交流することを嫌が
るのだ。
「別に手伝ってないみたいでしたけど?」
 まるで物怖じしないハーマイオニーの指摘に、セブルスは生意気だと
ばかりに眉を顰めた。いつの間にか自分の傍に立っていたハリーに気づ
くと、元の場所に戻れと指差して合図した。
「この子は私の見習いになる勉強をしているのだ。遊ばせる余裕はない」
 冷然と告げるセブルスに動ずることなく、ハーマイオニーはハリーが
抱えていた本を見て、
「この本は、歴史の本でしょう?私もそれで勉強しているもの。それが
調薬士になるのに必要なの?」
と、セブルスに質問してきた。ハリーはまだ自分の椅子に戻らずにいた
のでセブルスの舌打ちがはっきり聞こえたし、ハーマイオニーの言葉に
驚いてもいた。この本はセブルスが前に逗留していた街で手に入れてお
いた物だが、内容が難しくて読んでいても内容がさっぱり頭に入ってこ
ないので参っていた。セブルスのことだから、もっと後で習うものを、
今のうちに学習させておくつもりなのだとハリーは思っていたのだが、
ハーマイオニーはハリーと同い年だと聞いている。ということは、やは
りハリーの頭が悪いのだろうか。
「おやおや、ハーマイオニー、来ていたのかい」
 緊迫した空気を破って、市長がにこやかに部屋に入ってきた。ハーマ
イオニーに、今日の学校はどうだったかだの、おやつは食べたかいだの
と話しかけている。ハリーは優しいお父さんの顔をしている市長の顔を
見つめた。うらやましくはないが、素敵な光景だとは思った。
「市長、困りますな。お嬢さんをここに来させられては。病人も来る場
所ですぞ」
 セブルスは追い払ういい口実ができたとばかりに、市長に話しかけた。
市長は人の好い笑顔で、
「これはお邪魔をして申し訳ない。さぁ、うちでおやつを食べておいで。
ハリー君も一緒にね」
 そう言いながら、ハリーが抱えていた本を片手で受け取り、もう片方
の肉付きの良いあたたかい手がハリーの手を取ると、すぐにハーマイオ
ニーの手に渡されて今度はしっかりと繋がれた。反対側の手はロンが素
早く握った。ロンの手は緊張のためかひどく汗ばんでいた。異議を唱え
かけたセブルスに市長は、
「すぐ裏がうちの家ですから。ミスター・スネイプのお仕事が終わるま
でハリー君はうちで責任を持ってお預かりしましょう」
と、にこやかに提案した。両手をロンとハーマイオニーに引っ張られて
部屋を出ていきながら、ハリーが振り返るとセブルスはこの上なく不機
嫌な表情でハリーを見送っていた。

拍手してくださった方々、どうもありがとうございます!
感謝しております。
ちょっと間が空いてしまいましたが続きます♪
 ゴールデンウィークだというのに、何かまだ寒いですね。私はまだ
タイツをはいてます…。

プロフィール

樹里

Author:樹里
ハリポタのスネイプ教授が
大好きです。わりと腐話が
多いのでご注意ください。
本や漫画の感想も書きます。

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