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SS「客人」26 ドラコ・マルフォイ

 仏頂面のポッターをスネイプ先生は全く意に介されないご様子
でしきりに僕の仕事についてお聞きになられた。
手紙と食事の前に簡単に説明していたのだが、特殊技能が必要と
される職でもないし、同じ魔法省勤務と言っても闇払いである
ポッターとは雲泥の差がある。スネイプ先生は僕が薬学の道に
進むのではないかと思われていたらしい。研究職に向いている
のではないかと仰るので、ご自分と僕に似通ったところを見出
していただけたようで嬉しくなった。僕は魔法薬学が得意だっ
たし、今でも興味がある分野だが、研究者になるには独創性に
欠けているのが自分でよくわかっている。そういえば、6年生
になってポッターは急に魔法薬学の才能を開花させて驚いたの
だが、今もスネイプ先生と専門的な会話をしているのだろうか。
先程からのスネイプ先生のお話には相槌を打っているだけだっ
たが。そもそもポッターの魔法薬作りの才能が急に発揮される
ようになったのは、魔法薬学教師がスネイプ先生からスラグホ
ーン先生に代わってからだ。あの人は有名人好きでスリザリン
を優遇するよりも、自分の虚栄心を満たしそうな者に良い評価
を与える傾向があった。勿論、英雄ポッターは一番のお気に入
りだった。ポッターだけ特別に課題のヒントをもらっていたの
だろうか?それとも、裏でスネイプ先生がポッターを指導なさ
っていたとか…。閉心術の個人授業もしていたくらいだしあり
得ることではある。そんな昔からスネイプ先生とポッターが
実は親しかったのだと思うと寂しいが仕方ないことだ。

「ところで、ご両親は恙無くお過ごしかな?ルシウスは君が
働くことに反対しなかったのかね」

 スネイプ先生の問いかけに、

「反対されました」

と、即答するとさも可笑しそうに微笑まれた。

「あの人は労働というものと無縁だからな。貴族階級の者に
とって労働とは堕落に等しいと昔よく話していたものだ」

 いかにも我が父が言いそうな事だ。だから僕は自分で働く
ことを決意して、魔法省の採用試験に合格してから事後承諾
の形で父に報告した。父は狼狽し、母も交えて家族会議が
開かれたが、僕の決意は翻らなかった。すると父は、父の
好みの華やかな部署、たとえば外交部門のつてを使って僕
をそこに所属させようと考えた。しかし、僕はそういうこ
とは一切しないでほしいと父に頼んだ。マルフォイ家の者
に相応しい地位というものに非常に懐疑的になっていたの
と、自分の実力で合格できたことを心密かに喜んでいたか
らだ。大きな声では言えないが生まれて初めての経験だっ
た。結局、母が僕の意思を尊重するように父を説得してく
れたので、父も渋々だが折れた。僕が働き始めてからも、
上司が僕に残業をさせていることを母に愚痴っているらし
い。昔はあれほど僕に威圧感を与えた父が、変われば変わ
るものだ。

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プロフィール

樹里

Author:樹里
ハリポタのスネイプ教授が
大好きです。わりと腐話が
多いのでご注意ください。
本や漫画の感想も書きます。

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